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2012.11.04

白い粉の秘密2(地質学会銚子巡検)

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10月27~28日(土日)日本地質学会関東支部主催の巡検(観察勉強会)に参加した。場所は,今年日本ジオパークにも選定された,千葉県銚子周辺である。一日目は産総研の高橋雅紀さんの案内で,日本列島の地質構造上の再検討に関する露頭(地層が見える崖)の観察で,高橋さんについては,すでに紹介している(産総研のHPをご覧ください)が話が長くなるので割愛する。二日目は首都大学の鈴木毅彦さんによる,屏風ヶ浦の断崖を構成している更新世前期~中期(100~200万年前)の地層に挟まっている,広域火山灰(テフラ)層の観察である。
驚くべきことだと思うのだが,日本のような火山地域では,数万年に一回程度,破局的噴火による超広域(日本列島全土を覆うくらい広く)にガラス質の火山灰が厚さ数センチ以上の地層として何十枚も見ることができるのである。Ae0068_r
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南関東地域で100万年前の地層というのは,西部の多摩丘陵から横浜三浦と千葉の房総半島~銚子などに露出している上総層群という地層で,沈みこむプレートの陸側を沈降させる地殻変動(関東造盆地運動)によって海底に厚くたい積したものである。Ac006_r_2

ちょうど東京の真ん中がたわんで沈みこんでいるので,露頭が見られるのは西と東の端になり,それぞれの場所でどれとどれが同じものか(同時に噴火したのだからつながっているはずだが,つながりを見ることはできないので)対比して,噴出年代や噴火火山(給源)を探ることが鈴木さんの主なテーマで,彼はその研究の日本の第一人者町田洋先生(都立大学名誉教授)の継承者である。
最近自分の住んでいる足下の地面,つまり上総層群の露頭を高津周辺で見るようになって,5年前にも同様の巡検に参加したときから,もう少し勉強したいと思っていたのである。(↓高津区の露頭)
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地層が見られる露頭を探し,地層断面からガラス質火山灰層(白い粉)を見つけ,採集して化学組成を分析し,地層のその他の状況やたい積順序から別の場所のどれと同じかを探る作業は,試行錯誤も含めて科学の醍醐味そのもので楽しいし,何より給源火山を探り往時の噴火の規模を想像して地球のスケールの大きさに感動する。それがこの白い粉に魅せられる人たちがあとを絶たない理由で,さらに多くの人に,知ってもらいたい日本の自然についての確実な知識だと思う。Ae008_r_2
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(写真)採取した火山灰をすこし水で洗って顕微鏡で見ると,ほとんどがバブルウォールタイプ(マグマが発泡で風船のように膨らんで破裂した破片)と呼ばれる火山ガラスであることがわかる。
関東地方の地層断面図は,アーバンクボタから,高橋さんの日本沈没のシナリオはここで。
白い粉に魅せられた人々↓5年前の巡検(多摩丘陵)。
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