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2015.11.04

ドラマ「デザイナーベイビー」あるいは映画「ガタカ」

 9月から見はじめて,面白い,とかなり思ったNHKのドラマだ。病院の新生児が誘拐されるという事件の捜査にうってつけと抜擢される刑事は,妊娠8か月でもうすぐ産休。それを黒木メイサが演じるというのは意表をついている。身重なので動きは鈍いが,犯人の心理を読んで鋭い推理でテンポよく見せ場をつくる。それが2転3転するストーリー展開はなかなかスリリングで楽しい。原作が現役の産婦人科医というのもユニークだし,警察の捜査の雰囲気も防犯カメラやNシステムが中心で(相棒なんかみたいに安っぽくなく)現代的。
 タイトルから想像されるように,不妊治療に力を入れている病院で,誘拐された赤ちゃんの出産になんらかの危険な医療操作の疑いが出てくるが,治療を受けた母親や病院関係者が事実を隠蔽しようとするので犯行の動機が謎のまま進んできた。が全8回の後半になってようやくそのあたりが明らかに。白血病の第一子を救うために遺伝子操作した赤ちゃんを人工授精でつくったのだ。事件は医療の先端を極めたい医者の名誉欲と,子どもを親の思い通りにつくろうとする都会人のエゴという雰囲気になってきたが,それぞれの登場人物の立場を考えると事情や想いに感情移入させられてしまうつくりになっていて,これもドラマとして良くできていると思う。昨日の第7回で,こうした近未来の問題が浮上してきたので,同じテーマですでにSFとして評価の高い映画「ガタカ」を思い出した。去年まで理科で生物も教えていたので,DNAのお勉強の後に何回となく授業で見せた映画である。見ていない人には是非お薦めで,へたな道徳教育なんかよりずっと倫理的で勇気づけられる映画だ(概要はこちら)。ちなみに,ガタカはアメリカのNASAが2011年に,SF映画の中で最も現実に近い映画のベストワンに選んだ映画である。出生前診断による親の選択の問題がすでにあるように,デザイナーベイビーはほとんど現実の問題である。最終回は,最後に須佐美医師(渡部篤郎)が,人は運命を引き受けることが大事なんだ,みたいな台詞を言う,とだけ予想している(ハズレると思うけど)。

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