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2015.11.23

五日市の地質見学会

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 11月11日に,東京都地質調査事業協会主催の地質見学会「本邦地質学の難問,黒瀬川帯の謎に迫る」に参加してきた。
 本邦という言葉に,私のような古い人間は引っかかってしまい,さらに地質学的に黒瀬川構造帯といえば,たしかに謎なわけで,なおかつ,場所が五日市である。珍しいものや貴重な体験をしたかったらそれ相応に時間とお金をかけて遠くまで遠征するのが普通なのに,家から小一時間の場所で,かつさらに,案内してくださる講師は,幾度もお世話になっている産総研の高橋雅紀さんである。これは参加せざるを得ない。しかし,いったい何から説明すればいいのやら。
 ほとんどの人にとって,地質学と考古学は同じものではないだろうか。遺跡の発掘も恐竜化石発掘も,ようするに過去の遺物という認識であろう。過去の時間のスケールというのは人によって違っている。まずそこを確認してから話をはじめないと成り立たない。これは,空間にも言えて,自分と他人では認識のスケールが実はまちまちだという問題は,まじめに議論すべきだと思う。いろんな行き違いが,夫婦なんかで典型的にあるのもそれに近い。
 地質学的な日本列島の形成史について,形成史の形成史がある(参考「絵で分かる日本列島の誕生」)。データは地層から発見される化石や地質体(岩石と構造)である。研究者は野山をめぐって新たな事実を発見しに出かけ,発見しては論文に記載する。このとき,発見が古いことであるほど注目されるのは,過去を調べることの必然かもしれない。また,できるだけ整然たる秩序や順序が成り立っている方が理解されやすい。日本列島の形成史の形成史をみると,これらのバイアスに加えて,政治的な世界のイデオロギー対立(参考「プレートテクトニクスの拒絶と受容」)までもが関わって,一度定説となってしまうパラダイムから抜けだす困難などもふくめて,現在の解釈にたどりつくまでの紆余曲折が半世紀以上におよんだと言えるのではないだろうか。
 たぶん,このような大げさな認識をもつのは私のような少数派だろう。理由は,70年代に高校で地学を学んでおり,その後理科教員として地学を教えるのに,教科書の記述が2転3転するのを見てきたからである。
 それで,今回の巡検では現段階でもっとも新しい日本列島の形成史に基づいて見学してきたのだが,まだ頭の中がもやもやしている。キーワードは蛇紋岩メランジュと構造性侵食なのだが,受容するのにもう少し時間がかかりそうだ。
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  関東山地の黒瀬川構造体を示す蛇紋岩メランジュの露頭

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