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2016.05.03

みんな彗星を見ていた

 長崎のキリスト教会群などが世界遺産に登録されることになっているが,単純に喜んでいる場合ではない。隠れキリシタンとはなにか,殉教とは何か,日本人は過去をきれいに消してしまうくせがある。など愕然とさせらる本だ。昨年出て買ったままだったのを,連休になって読んだが,もっと早く読めば良かった。星野博美さんの本は,「銭湯の女神」「のりたまと煙突」というエッセイを面白く読んでいるが,今回のルポルタージュは本当に重たい。
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 でも,中学時代に英語を習ったときに人名を辞書で引いて,ビートルズのポールをパウロ,ジョンをヨハネと訳して先生に笑われた話やリュートという楽器との不思議な出会いなど,面白いエピソードが随所にあり,相変わらずきまじめな視点と感性が魅力的である。
 天正10年1582年は本能寺で信長が討たれた年だが,その数日前に大彗星が現れ安土に落ちたという記録がフロイスの「日本史」にある。天正遣欧少年使節が送られた年でもあり,そもそも天正少年使節はどうなったんだろうという疑問がきっかけだという。それと1978年のNHK大河ドラマ「黄金の日々」に描かれた世界に引かれたという。
 確かに天正少年使節というのは,教科書に出てくる,が彼らは行ったっきりどうなったかなどジョン万次郎とごっちゃにしているのが多くの人だろうし,私も「黄金の日々」は印象に残っているが,日本の歴史というより,堺商人の冒険活劇みたいで違和感があった。私にとって,子どもの頃の大河ドラマは,歴史の勉強だった。地震のことでも触れた’秀吉’の時代が大河で濃密に取り上げられる。元号の天正,文禄,慶長を知らない人はないだろう。
 しかし,現在放映中の「真田丸」にしろ,おそらく江姫の頃からなんか考証にとらわれない脚本(ウソ)になっているのは明らかだ。三谷幸喜のお百姓関白秀吉一家は悪くはないが,この表現がこれから日本の子どもに与える影響は少なくない気がする。そう理解していても歴史ドラマを見たり,小説を読んで(司馬遼太郎の坂本龍馬だってフィクションにすぎない)知らぬ間にすり込まれていく。我々庶民にとっての「歴史」は,恐ろしいことにそういった過程によるものなのだろう。だからといって,分厚い歴史研究書を読むほどの暇があるわけではない。むしろ,この本でほんとうの歴史とはどんなものかを大勢の人に知ってもらいたいと思う。


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