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2017.07.07

人体という小宇宙

 今年は,高校の生物基礎も教えている。昔の生物に比べると内容が精選されてアホみたいに細かいことは教えなくても良くなった。染色体の連鎖と組換えとかカルビンベンソン回路の中身とか。それが「生物」だ,みたいな部分がなくなった。反対に,恒常性とか生態系とか実際的な内容に代わっている。

 昨日は,試験後の授業だったので,4月からの復習と称して生物の見方を簡単に説明した。習ったもののサイズと数の話。養老先生の受け売りでもある。

 生物学のセントラルドグマ(古いんじゃ?)が教科書に出てくる。DNAからタンパク質ができるという。それから,細胞のこと,細胞分裂のこと。染色体とDNAの関係は,昔より分かりやすい図が描かれるようになった。
 しかし,大きさのことに触れている人は少ない。DNAは分子レベルだからnm(ナノメートル),細胞は顕微鏡だから㎛(マイクロメートル)単位だ。で,細胞は10㎛位だから,DNAの約一万倍。もし,DNAのはたらきを見ることができるとしたら,イメージすると,幅1cmほどのリボンのようなものからmRNAに転写,アミノ酸が連結してタンパク質ができるというのだが,それをながめている人から見て,細胞のサイズは1万倍だから10000cm,すなわち100mである。細胞がいかに巨大なプラント設備のように見えるか,ということ。
 さらに,私たちの日常スケールと,細胞のスケールも,ほぼ1万倍の差がある。10㎛は1/100mmだから,その1万倍が10cmになる。私たちの身体の10cm四方くらいの肉塊に,細胞は10000×10000×10000個,つまり1兆個ある。もし細胞1個を直径1cmのビー玉にしたら,これが1辺100mの立方体にぎっしり詰まっているイメージ。
 
 このような,巨大な(無数のシステムからなる)生物のしくみを理解したと信じている方がおかしい,と養老先生は指摘している。大腸菌が何億だったっけ,自分の中に住んでるのだって,うちのかみさんは信じないだろう(自分はつねに清潔だと思っている)が,事実だからしかたない。普通宇宙というと,広大無辺のことだが,地球の海なんかもふくめて,生命そのものが宇宙と言ってよく,こんなことを考えても何にもならないと仏教では「空」と呼んできたのだろう。「無明」かな。

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