映画「パラサイト~半地下の家族」
映画館などコロナウィルスの感染を警戒したほうが良いと思ったのですが,当日分でも予約ページを見るとガラガラでほとんど空席だったので行ってきました。座席の埋まり具合は2割以下じゃなかったかな。貧困な家族といえば,「万引き家族」を連想しましたが,こちらは一応血のつながった両親男女2人兄妹の4人家族の話です。内容はネタバレになりますので控えますが,前半途中からハラハラどきどきの展開がずーっと続いて,衝撃のラストまで,見終わってからもちょっと立ち上がれなくなるような,一度見たら忘れられない(たぶん)内容の映画でした。最近のアカデミー作品賞を見ていなかったのですが,90年代~2000年前半くらいのラインナップでやはり忘れられないものを思い出すと,この映画もたしかにそういった部類になるのかと思います。是枝監督のような作品とか日本映画の雰囲気とはやはり違う,といったら分かるでしょうか。
貧困家族が,豪邸に住む富豪一家をだましていくので,それがいつバレるかハラハラするのですが,富豪一家の小学生の息子が,この人たちみんな同じ臭いがするよ,というあたりでこりゃもうダメだなと思うのですが,そのあとの展開もよくできています。ラストで父親がなぜ?,という行動は,自分の家族への誇りによる行為だったのか,と想像するしかないのですが,改めて「家」というもの考えたりしました。
一人暮らしであれホームレスであれ,雨露をしのげるのが家だと思います。大昔ヒトは洞窟や岩陰,それから竪穴式住居,と変遷をみても,屋根を葺くことが家の基本だった気がします。また,古代から雨で流されないような高台に住むことが基本で,その後も長く続いたはずです。近頃の豪雨災害を見ると,そんな低地帯に住めばいつか洪水にやられるというのが忘れられているのだと思います。映画の後半,この半地下の家は,大雨で大変な目に遭うのですが,それでも家族とは,一つ屋根の下に集まったもののことで,それがこの家の臭いに象徴されていて,不条理な結末をもたらすことにつながっているのだと思いました。
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