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2020.06.08

虫とゴリラ(養老孟司,山極寿一対談)と脳の退化

のっけから面白い話,アメリカの動物園で飼われていたココというゴリラは,ネコが好きで猫を飼っていたとか,虫にも意識があるに違いないとか。養老先生の虫と解剖,山極さんの霊長類で語り合うのだから面白いに決まっている。

4月から学校の授業を,遠隔でやる。と決まって,パワーポイントに音声を吹き込んで動画をつくる,なんてことが急に始まった。自分は滑舌の悪さに定評があるので,それは無理だと思った。多少何言ってるか分からなくても,普通の授業では身振り手振りと板書があるから通じる(それでもよく「小惑星」が「小学生」に聞こえると言われる)。そこで,考えついたのはHP(HTML)で講義内容のようなページをつくり,質疑などを掲示板(PHPでつくる)で行う,という方法である。レンタルサーバーにドメインを追加してPHPの入門書を買ってきて,4月の中頃にはできた(毎週1回クラス共通の課題配信もある)。ちなみにこちら→「地学の学習」。その講義も8回ほどになったところで,学校がMicorsoftTeams を導入することになった。少人数の選択授業などでは,例のZoomを使っていたりもしたようだが,さらに,もう一校の学校(掛け持ちしてます)も,当初ベネッセの「Classi」を使おうとしていたが,4月は回線が混み合ってほとんどつながらない状況が続き,結局GoogleClassroom に移行することになった。そして,これらの使用方法について,どちらも最近教師研修が行われ参加し(させられ)ている。同じようなものが,Appleにもあるらしい。何のことは無い,GAFAMによる支配ではないか。研修では,テキストを共有して,意見をみんなで出し合ったり(テキストなので声の大きい子が目立つこともなく民主的とか),音声入力や,翻訳などもできる,という。音声入力にも,翻訳もAIが使われているという。

これらを実際に眼のあたりにして思ったのは,子供は鉛筆を持たなくて良い,漢字の書き取りはしなくて良い,英語のグラマーも作文もいらない,ではないかである。なんでこんなことになるのかということが,この本に書いてある。とくに,霊長類研究の山極さんは,ヒトが他人(家族より大きな単位)と行うリアルなコミュニケーションこそが,人類の進化で獲得した「共感力」であり,それをSNSなどが阻害していることを憂慮しているが,1万年前のヒトより現代人のほうが脳が縮んでいるのだそうである。養老先生は,それは脳ができるだけ抽象化(これがヒトの言語などの特徴だが)することで,脳の負担を減らすこと自体脳に備わっていると言い,AIとか機械学習とかは,ヒトの脳が外に出たもので,このようにきるだけ脳の負担を軽くしてきた結果,脳は小さくなったという。以前は身体的な感覚依存が大きかったのが,抽象化して脳を軽くしてきた,という。要するに,どんどんバカになっていくと言いかえてもいい。

たしかに,科学技術の進歩,コンピューターの発達する理由は,これしかないと思える。真逆の世界,職人技とか農業のノウハウとか,言葉にできていない世界が魅力的に思える。一方,直感的にこんなAIに支配された環境で,まともな教育などができるはずはないと思えてくる。常々養老さんが言っているように,子供は「自然」なのだから。山極さんの6月にでた「スマホを捨てたい子供たち]も注文しました。

また,数学は,やはり脳の中にあって神経細胞のつながりだとか,直線も網膜の細胞がつくったとか,ピアノも一次聴覚神経そのものだとか,自然と生物の織りなす世界を見る目を持っているから言えるのだと思う。毎度ながらの文明批評(山極さんの家族論とかも)で,マルの本より普通の人にはとっつきにくいだろうが,目から鱗本がまたひとつ増えた。

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