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2020.10.11

養老孟司対談集「AIの壁~人間の知性を問い直す」PHP新書

将棋の羽生さんや「東ロボ君」の新井さんと,AIについて養老さんが語った内容なので,見ておきたかった。人工知能がどこまで人間に近づくかは,そもそも人間の脳のしくみが解明されていないのだから,あくまでAIは「道具」として使うに限るというのが養老さんの見解で,研究者や起業家はそれでも人間に成り代わるものを想定している,という感じだ。たとえば,AIが危ない答えを出しそうだったら,電源を引っこ抜けば良い,と養老さんは言うが,開発者はAIが自分で電源を入れたり切ったりの判断もさせるつもりでいる感じ。そんなものに,自分の人生を任せてしまうような人たちが大多数になる世の中が,幸福だとは決して思えない。とっくの昔から養老さんの言っている「脳化社会」は,まさにそれである。特に,最後の新井さんとの対談で,インターネット上のSNSは,自己愛や承認欲求を解き放ってしまったので,ポピュリズムが跋扈し取り返しがつかなくなりそうだ,というのが今まさにその瀬戸際だと思った。管政権の日本学術会議任委員解任問題への見解が政府機関だからとか税金投入しているからとかに大衆を騙そうとしているのがまさにそれで,新井さんは,こう言ったインチキ論理が横行し始めたのは小泉首相が「自衛隊は戦闘地域には派遣しない。なので,自衛隊が駐屯する地域で戦闘があっても,それは非戦闘だ。」と大っぴらに主張して以来だと言っている。この文言が論理学的に破綻しているのは自明だが,大衆には分からないと踏んでいるのだという。もうなにをか言わんやであるが,最近小田嶋隆さんが日経BPで管総理を「ダサい」として圧倒的にダサいと表現することで逆に大衆の心理をつかもうとしている。正解だと思う。

人工知能に対する,人間の知能を「自然知能」といい,さらに世界(自然界)には「天然知能」があるという(郡司ぺギオ幸夫氏の本=注文した)ことも知った。人間はもっと天然知能に近づくべきだろうと思います。

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